私は35歳で結婚し、その1ヶ月後に検査薬で妊娠していることに気づいた。
産婦人科病院で診察してもらった結果、妊娠3週目だった。
トントン拍子で妊娠できた幸運に「30代でも自然妊娠って簡単にできるものなんだな」と私は浮かれていた。
しかし、問診で医者に仕事内容を答えたら「すぐに仕事を辞めてください」と警告されてビックリした。
「医者はお爺さんだったし昔ながらの考え方なんだろう」と判断し、私は医者の警告を無視して仕事を続けた。
その結果、奇跡的に恵まれた赤ちゃんを妊娠9週目で繋留流産してしまった。
妊娠初期の流産は自然淘汰とも言われているが、医者の警告を聞かなかったことをずっと後悔している。
妊娠したら女性はすぐに仕事を辞めるべきなのだろうか?当時、医者に辞めるべきと言われた仕事内容と出産でもらえるお金、年齢別の流産が起こる確率をまとめてみた。
妊娠したら辞めたほうがいい仕事内容
当時、私の仕事は外回りの営業職で、現場監督も掛け持ちしていた。
医者が言うには、以下のポイントが妊娠初期によくないそうだ。
- ストレスが多い
- 通勤時間が車で1時間(片道)
- 運動量が多い
- 体を冷やしやすい
- 立ち仕事
- 重い荷物を持つ
- 動きが激しい
- 高いヒールを履く
- 自転車やバイクに乗る
私はこの指摘を聞いた時に「こんなことで仕事を辞めていたらほとんどの女性は産休なんて取れないじゃないか」とがっかりした。
当時の仕事は資格の取得と転職を繰り返してやっと掴んだ高収入な仕事だったし、産休を取った経験のある女性がすでに2人いた。
会社も「産前休業(産休)と育児休業(育休)が取れる女性が働きやすい職場」ということを売りにしていたため、長く続けられると思って選んだ経緯があった。
産休から復帰したばかりの先輩が同じ支店にいたので、私は相談してみることにした。
産休と育休の金額は?出産でもらえるお金
先輩は「産休と育休はおいしいから絶対に取得したほうがいい」と言っていた。
彼女は仕事がかなりできる女性だったので、妊娠によって営業成績が落ちることはなかったそうだ。
つわりもそれほど重くなかったので産休まで普通に仕事を続けられたと話してくれた。
産休と育休、出産育児一時金でもらえる金額と期間を当時の給料(月額平均55万円)をこちらのサイトでざっと計算してみた。
- 合計期間…1年1ヶ月10日間
- 合計金額…約422万円
確かに働かずにこれだけの金額がもらえるなら、仕事をすぐに辞めるのはもったいない。
私は先輩に相談した結果、妊娠初期によくないと言われた仕事内容は自分で気をつければ大丈夫な部分もあるし、周りに協力をお願いしたら何とか仕事を続けられるのではないかと思った。
それに有給休暇がほぼ取れずに溜まっていたので、つわりや疲れがひどい時はそれを利用しようと考えた。
産休や育休でもらえる金額の計算方法、出産でもらえるお金をまとめてみた。
出産育児一時金
健康保険からもらえるお金
- 子供1人…42万円
- 双子…84万円
出産手当金(産休)
産休でもらえる金額
標準報酬日額の3分の2を支給
産休の対象期間(いつからいつまで)
産前休業42日間+産後休業56日間=98日間
産休の対象
健康保険に加入している
※1年以上健康保険に加入して産休中に退職した場合も対象
育児休業給付金(育休)
育休でもらえる金額
標準月額は育休に入る時点の金額になる。
- 育休開始180日目まで=標準報酬月額の67%(上限額286,023円)
- 育休開始181日目以降=標準報酬月額の50%(上限額213,450円)
育休の対象期間(いつからいつまで)
対象期間は通常子供が1歳になるまでだが、条件によって延長される場合がある。
- 1歳…産後57日目から子供が1歳になるまで
- 1歳2ヶ月…両親ともに育休を取得する場合は子供が1歳2ヶ月まで延長
- 1歳6ヶ月…保育園に入園できない、病気や離婚などで養育が困難な場合など一定の条件によって最大1歳6ヶ月まで延長
育休の対象
育休は正社員でなくても条件を満たせば契約社員や派遣社員、パート契約の人も受給の対象になる。
- 雇用保険に加入している
- 育休に入る2年前に11日以上働いた月が12ヶ月以上ある
- 休業日数が対象期間中に毎月20日以上ある(終了日を含む月の場合、1日でも休業日があれば可)
- 育児休業後に働く意思がある
年齢別の流産が起こる確率
初めて妊娠できた時はまさか自分が流産するなんて思っていなかった。
子供ができたらそのまま順調に出産できるものと思い込んでいたが、年齢が上がるに連れて卵子は老化していくため流産のリスクが高まっていく。
厚生労働省の「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会」という報告書の参考資料で、母の年齢と自然流産率は以下の確率になっている。
- 24歳以下…16.7%
- 25~29歳…11%
- 30~34歳…10%
- 35~39歳…20.7%
- 40歳以上…41.3%
当時私は35歳だったので5人に1人の確率で流産が起こる年齢だった。
30代後半から流産リスクは急増すると言われているため、仕事を続けるべきかどうか悩んでいる人は、自分の仕事内容と年齢も考慮して判断したほうがいいと思う。
まとめ
当時の仕事は好きだったし、キャリアを積んで採用されたので辞めたくなかった。
しかし35歳で流産を経験し、5年間不妊に悩んだ今は「あの妊娠は奇跡だったのだ」と痛いほど実感したし、仕事をすぐに辞めていたらと後悔した。
不妊に悩んでいる時は「あれが最初で最後の妊娠だったのだろうか」と毎月落ち込んだ。
年齢が上がるほど子供を自分がほしいタイミングで授かることは難しくなる。
産休と育休を取得して子供が産むのが一番の理想だが、社会は女性が思っているほど協力的ではない場合もある。
実際、私は上司のパワハラによって悪阻でも有給を取らせてはもらえなかった。
妊娠初期は体調や精神も不安定になるし、仕事内容によっては続けることが難しい。
自然淘汰と言われていても流産した原因を考えてしまうし、仕事を続けることを選んだ自分を責めてしまう。
産休までたどり着けない女性がいる今の社会では、少子化になってもしょうがないのではないかと思う。
悪阻で働けず、仕事を辞めてしまう女性もたくさんいるだろう。
不安定な妊娠初期こそ仕事をすぐに休める社会になってほしい。